日本でも急がれるマネーロンダリング対策!世界標準で決済ビジネスのセキュリティを強化することの重要性について
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幅が広く、かつ深い知識が必要となるのがカードビジネスです。
この時代、金融の中でもカード業界の「決済」というサービスは経済活動を支えるインフラとなっています。
しかしこの「決済」というサービス、それこそ最近話題になったApple Payではないけど、だんだん便利になって進化してきています。私たちの生活が豊かになる進化は構わないけど、進化に伴ってセキュリティも固めていかなければなりません。
つまり、決済ビジネスは常に「犯罪との戦い」と言われていて、日々様々な犯罪の危険にさらされています。世界では犯罪やテロを資金面から断つマネーロンダリング対策を急いでいます。
今回はその”マネーロンダリング”に関する事柄として、日本の抱える課題、世界の抱える課題について、記事にしてみました。
マネーロンダリングとは
「マネーロンダリング」は日本語で言うと、資金洗浄を意味*1します。
資金洗浄って何?って思いますよね。貨幣をただ水で洗うわけではないです。麻薬取引や、脱税、粉飾決算などの主に”犯罪”によっって得られた資金(汚れたお金)を、資金の出所をわからなくするために、架空または他人の名義の金融機関口座などを利用して、点々と送金を繰り返したり、株・債券の購入や大口寄付などを行ったりします。
これらの行為は捜査機関による差し押さえや摘発を逃れるための行為であり、世界中で巨大な闇のお金として悪用されることがあります。
もちろん、これらの行為は法律で固く禁じられております。
クレジットカード事業者の疑わしい取引
疑わしい取引にはいくつかパターンがあり、その類型が示されています。
⑴短期間のうちに複数のクレジットカードの発行を求める、あるいは、頻繁な紛失に夜再発行の依頼がある顧客との取引
基本的にマネーロンダリングとは関係ないとしても、複数のクレジットカードの申し込みが頻繁にあると、審査側は非常に不審に思います。ただクレジットカードの関して知識の乏しい人は、何も考えずに同時に2,3枚の申し込みをするケースありますよね。
これ本当よくないです。クレジットカードはこうの審査に当たって、多くのカード会社はCICに照会をかけると思いますが、申し込み情報は6ヶ月間消えません。
6ヶ月間自分のクレジットヒストリーを築き上げることもできないし、あまりにひどいと最悪の場合それこそマネーロンダリングを疑われます。
⑵顧客の収入や資産に合わないと思われる利用限度額の引き上げを依頼する顧客
限度額引き上げの場合は必ず審査が必要となります。また、クレジットカードを持ってたった半年や1年でそう自分の収入・資産の状況が大きく変わることってありませんよね。そんな人がいきなり今までの限度額の3倍とか4倍の引き上げ金額で申し込んできたら、それは認められないのが通常ですし、審査する側も何かトラブルに巻き込まれているor犯罪に巻き込まれているんじゃないかと疑います。
学生ならプラス10万円程度の限度額引き上げ要求がベストかなと思います。
⑶架空名義、または借名で締結したとの疑いが生じたクレジットカード契約
基本的にこれは審査の段階で弾かなければいけないものですが、最近は犯罪の手口も巧妙で、架空名義なのにカードを発行してしまう業者も少なくないようです。ただバレた時がやばいですね。自分が名前を貸した、もしくは勝手に借りられていた時なんかはもっと大変なことになります。
普段からクレジットカードの管理をはじめとして、身分証や個人情報の管理をしっかりしましょう。
⑷顧客である法人の実態がないと疑いが生じたクレジットカード契約
法人のカード発行、個別クレジット審査は非常に厳しくなっています。最近では実態のない法人も多いので、審査する側もしっかり裏付けを取ります。その分審査に時間を要しますが、それでもリスクを考えたらいくら途上与信制度があったとしても最初の段階でしっかり審査しています。
⑸合理的な理由もなく、住所と異なる連絡先にクレジットカード等の送付を希望する顧客または取引に関する通知等を不要とする顧客に係る取引
基本的に申込書に記入いただく住所以外には、郵送物は送れません。郵送途中で紛失などの個人情報事故につながる危険性がありますので、そういうのは事前に防ぐことが求められています。
だからたまにショッピングローンの申し込みで「家族に申し込みがばれたくないから」という理由で請求書の送付先や商品の送付先を別な場所にしてくださいという方がいらっしゃいますが、原則それはできません。むしろ詐欺ではないのかと、不審がられます。ばれたくないのなら現金で買うか、カードで購入するのをオススメします。
⑹短期間のうちに多額の支払いを行い、利用限度額まで使い切る顧客に係る取引
闇金の手口の1つとして利用されることがあります。
- 買取屋
これは「ショッピング枠を現金化」するものです。
最近ではクレジットカードのキャッシングは以外と多くの人が利用しています。そのクレジットカードのキャッシング枠がいっぱいになった時に、それでも現金が必要という人を狙った手口です。
ショッピング枠で、高額な家電製品、高級ブランド品や時計などを買わせ、買取屋はそれを半分以下の金額で買い取ります。その後下取り業者に買った以上の金額で転売し、多額の利益を得ます。
出典:闇金の10個の手口を知れば、その怖さがわかるはず - 学生・女子大生が失敗しないためのクレジットカードのお話(海外旅行・審査の知識・おすすめランキングも)
⑺クレジットカードにより多額のギフトカード、商品券等の現金代替物を頻繁に購入する顧客に係る取引
これもある意味「ショッピング枠を現金化」しているようなものですね。その点で闇金の手口の1つとしても存在します。
現金代替物はより換金性が高い商品になるので、これらのギフトカード等を突然大量に購入していたりすると、怪しいと感じるかと思います。
まとめ
疑わしい取引の類型はまだまだたくさんあって、日々そのやり方・手口は巧妙になっています。だから審査する側の人間も常に「これは疑わしい取引ではないか?」という疑念を持って審査しています。
日本は世界でも治安の良い国とされており、銀行等金融機関も世界最高レベルの処理能力を持ち、かつ安全対策も施されています。しかしこれは日本が海に囲まれた島国という地形であることや日本人の国民性からくる治安の良さだと考えられています。
ただ、これが大きな問題になっています。この治安の良い状況に慣れきってしまっている日本人は、国際的な金融犯罪に対する耐性の低さにつながっています。日本でもこれだけ手口が進化している中で、世界に目を向けるともっと幅広く良い面でも悪い面でも進化していっています。
だからこそこれからは世界のマネーロンダリングに目を向けて、日本ではなく世界の金融犯罪が標準であるという物差しを持つこと。そして、その世界標準に合わせたセキュリティ基準に合致させていくことも重要です。
参考図書:
今日も読んでいただきありがとうございました!