統計から読み解く、若者のクレジットカード離れ。その原因は電子マネー?魔法のカード?詳しく解説します。
日々クレジットカードの話題には敏感にはなっているのですが、今回ネット上でこんな記事を見つけました。
内容はJCBがクレジットカードの総合調査結果をレポートにして発表したというものです。【JCB、「クレジットカードに関する総合調査」2015年度の調査結果を発表 | JCB グローバルサイト】
このレポートの統計を抜粋させていただきながら、日本のクレジットカードの利用の現状を、考えてみました。
クレジットカード保有率
ここからわかるのは、クレジットカードの保有率が2011年から減少傾向にあるということです。2015年に至っては、前年度より2.8ポイントも減少しています。
これは、もう今の時代日本人の多くはクレジットカードを持っていて、持っていない人を探す方が難しいという現状。そして、その持っていない人は多分何らかの過去のあまり良くない理由でクレジットカードを持てない人が含まれると思います。
実際に、過去の延滞をはじめとした個人情報事故でカードを作れない人は、きっとその延滞の履歴が時間が経って信用情報から消えるときには、またカードを持つと思います。
これらの理由があってクレジットカードを持てない人の数は、この数年で大きく変わるものではないと思われるので、そこまで統計に影響するとは考えにくいです。この減少傾向の原因はやはりクレジットカードを持つことができるのに、敢えて持たない人が増えているということだと思います。
クレジットカードの年齢別保有率
こんな統計もありました。
これを見て大きく目を引くのは、女性のクレジットカード保有率が男性より約9%も低いということです。
なぜ女性はクレジットカードをあまり持ちたがらないんでしょうか。
1つは、「専業主婦などは収入がないのでクレジットカードを持てないと思い込んでいるから」という理由が考えられます。
確かに少し前までは、日本ではクレジットカードを使える店の方が少なかったし、クレジットカードはステータスの象徴。収入がある人、大企業に勤めている人が持つものだという偏見があったのかもしれません。
しかし、現在は昔と違います。収入のない主婦でも、学生でも一定の審査さえ通ればクレジットカードを発行してくれるカード会社も多く存在しています。楽天カードやエポスカードなんかはその一例だと思います。
2つ目は、買い物をしすぎるのが怖いからだと思われます。つまり買い物依存症になってしまうのを恐れているのです。
クレジットカードを持った人なら分かると思いますが、最初の頃ってなんだかクレジットカードが「魔法のカード」のように感じますよね。今までは財布から細かい現金を引っ張り出して支払ってたのが、スマートにさっと支払いを済ますことができます。また、手持ちのお金がなくても欲しいものが買えるし、財布からその瞬間にお金がなくなるわけではないから、使った感覚が麻痺してしまいますよね。
こういう繰り返しで思わず使い過ぎてしまったという経験のある方いらっしゃると思います。それも特に女性に多いのではないかと思います。
まだこの段階では買い物依存症とは言えないけど、これがエスカレートしてくると、ストレスが溜まればデパートやネットショッピングで必要のないものを買いまくる、そしてカードで決済するから、高額な金額を勢いで使ってしまい、支払日にはお金がない。そのカードの支払いのためにまた別のカードでキャッシングして、、などというように無限ループに陥っていきます。ここまできたら完全に買い物依存症です。
比較的女性の方が買い物依存症に陥る傾向が高い。対して男性の場合は同様のストレス解消の手段としてギャンブルを行っており、その症状はギャンブル依存症と呼ばれている。
確かに買い物するって気持ち良いですもんね。
実際に私の大学の友達でクレジットカードを持ってない子は女性が多いです。理由を聞いてみると、「カードなんて持ってしまうと、買い物が止まらなくなりそうで怖い」と言っていました。
大学生になると多くの方はアルバイトをします。アルバイトをし始めると自分が自由に使えるお金も増えて、欲しいものも買えるようになりますよね。
女性なんかは特に化粧品やファッションにもお金をつぎ込むようになります。その化粧品や服も興味を持てば持つほど高級なものに目移りしていき、どんどん使う金額が大きくなっていきます。
そういう経緯があるからこそ、女性のクレジットカード比率が低いのかなと私は分析しました。
若者のクレジットカード離れ
上記のグラフを見てわかると思いますが、20代の若者のクレジットカード保有率がダントツ低いですよね。
その理由として、女性目線では先述した通り、お買い物しすぎるのが怖いからという点が挙げられると思います。
では、男性も含めた全体で見るとどうでしょうか。
私が若者のクレジットカード離れをもたらしている要因の1つとして考えるのは、電子マネーの多方面での普及が進んでいることです。
まず関東で電車通学をする大学生は、必ずPASMOかSuicaの交通系ICカードを持っているはずです。これはチャージしておくだけで電子マネーとしてコンビニやスーパー、自動販売機で利用できます。チャージの上限も20000円までなので、20000円あれば奥の買い物ができますよね。また、ポイントも貯まるので、大学生の多くは定期券、電車賃以外としての用途でも使っていると思います。
この交通系電子マネー以外にも、iDやnanaco、Edyなど今現在たくさんの電子マネーが普及しています。電子マネーを持つにはクレジットカードと異なり審査不要なので、手軽ですもんね。
まとめ
結論、若者のクレジットカード離れを止めない限り、クレジットカードの保有率は年々下がっていくような気がしました。
ただし電子マネーの普及はどんどん加速していくだろうし、それを止めることは現状不可能だと思います。
だから、クレジットカードの審査を緩めるとは言わないけれども、もっと電子マネーとクレジットカードの差別化を図り、クレジットカードの利点を若者に伝えること。そして途上与信制度も多くのクレジットカード会社が導入しているからこそ、とにかくクレジットカードを持つことそれ自体は簡単な世の中にしていくのが良いんじゃないかなと思います。
参考になれば嬉しいです、読んでいただきありがとうございました。