〇〇系クレジットカードのすべて〜クレジットカードの種類〜
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ノンバンクとは
ノンバンクとは1950年代から日本のクレジットカード発行を担った機関です。預金業務を行わず、銀行からの融資などによって調達した資金で与信業務を行っています。クレジットカード会社、消費者金融、信販会社などがこれに該当します。
ノンバンク系は主に「〇〇系」と呼ばれています。例えば有名なのは百貨店のクレジットカードを「流通系」と言ったり旧日本信販などの個別信用購入あっせん業者(信販)「信販系」と言ったりします。聞いたことがある方もいらっしゃると思います。
以下で、この「〇〇系」のように業界系列に分けて、詳しく見ていきたいと思います。
銀行本体発行
本体発行とはその名の通り、銀行が自らクレジットカードやデビットカードを発行することです。金融ビックバン*1の到来以前は、銀行による本体発行は行われていませんでした。
というのも、日本では戦後の財閥解体に伴い、金融機関の広範なビジネスが制限されていたという背景があります。
クレジットカードも例外ではなく、銀行本体による直接発行には制限がありました。この制限のために日本のクレジットカードの歴史はノンバンクが作ってきたと言っても過言ではないのです。
このノンバンクによるかクレジットカードの発展というのは、世界でも特異なものです。
海外では一般的にクレジットカードのような決済に関わるカードビジネスは銀行が主体となって、銀行の主要業務として発展してきました。日本のように銀行をはじめとする金融機関がクレジットカード業界に参入する時にあった規制のようなものは全くなかったので、銀行がクレジットカードの歴史を作り、今でもこの業界を引っ張って行っています。
しかし、日本においては金融ビックバンの到来を契機にこの規制が緩和され、そこでやっと銀行の本体発行が可能になったという経緯があります。
銀行系
先述しましたが、規制により銀行がクレジットカードを発行できない時期に、銀行と大手クレジットカード会社が提携して、その子会社や系列会社にカード会社を設立しました。これが「銀行系」クレジットカード会社です。
代表的な銀行系クレジットカードとその発行会社
- 三和銀行と日本信販 → JCB
- 住友銀行 → 住友カード
- 三菱銀行 → ダイヤモンドクレジット(DC)
- 東海銀行 → ミリオンカード(MC、後のUFJカード)
- 第一勧業銀行 → ユニオンカード(UC)
特に、住友銀行は日本国内で初めて、国際ブランドであるVISAカードを発行しました。また、DC、MC、UCはMaster Cardを採用しました。
さらに、大手銀行だけではなく各地方の金融機関もJCBや住友VISAのフランチャイズ方式やブラザー方式で、クレジットカード業界に参入しました。
最近ではよく見かける「〇〇JCB」や、「〇〇銀クレジット」などという社名を総称して「銀行系」と呼んでいます。
信販系
もともと大手企業のサラリーマンを対象に百貨店等で高額商品の分割払い等をあっせんしていた信用販売*2業が、クレジットカード業界に参入しました。これが「信販系」です。
信販会社は給与天引きによるクーポン販売と、個品割賦・ショッピングクレジットとも呼ばれる分割払いを行っていました。
信販会社はのサービスであるショッピングクレジットは、分割払い・ボーナス払い・ボーナス併用払い等、様々な支払い方法を持っているのが特徴です。だからこの信販会社の流れをくむ「信販系」のクレジットカード会社は日本特有の分割払いの方式を採用したクレジットカード*3を発行しています。
代表的な信販系クレジットカード会社
- 三菱UFJニコス
- オリエントコーポレーション(オリコ)
- クオーク
- ジャックス
- セディナ
- アプラス
- ライフ
2005年に株式会社UFJ銀行(現・株式会社三菱東京UFJ銀行)の子会社となるまで、日本最大だった信販会社の日本信販は
を集約して現在の三菱UFJニコスとなっています。
このように多くの信販系クレジットカードも合併や集約を経て、現在の形となっています。
T&E(トラベル&エンターテイメント)系
旅行をサポートする機能に特化したクレジットカードや、食事や観劇など娯楽の予約や手配サービスに特化したクレジットカードを、T&Eカードと言います。
旅行に特化するとは、遠隔地での決済や現地通貨の出金というところをサポートしています。また、旅行先での紛失時のサポートや各種手配も手厚くサポートしてくれています。そのため、T&Eカードは航空会社、旅行会社、ホテル、レストラン、飲食店、劇場、アミューズメント施設などの分野に多くの加盟店を持っています。
代表的なT&Eクレジットカード会社
ダイナースクラブは1960年に富士銀行と日本交通公社(現:JTB)の合弁で誕生しました。これは1964年の東京オリンピックを見据えたもので、ダイナースクラブはクレジットカード専門企業として日本で最初のクレジットカードを発行しました。
流通系
大型ショッピングモールやスーパー、大手電化量販店、コンビニなどの小売企業から発行されるクレジットカードを、流通系カードと言います。
代表的な流通系カード
日本で最初のクレジッカードは、1960年にマルイで発行されました。
その後、1980年代まで信販系や銀行系クレジットカード会社との提携でクレジットカードを発行していた新興流通業(ダイエー、ジャスコ、ニチイをはじめとしたチェーンストア)は自社でクレジットカード業を営むようになりました。
そもそもクレジットカードって決済手段、支払い手段の1つですよね。支払いの選択肢が現金以外にも増えるって、私たち顧客の目線からしたらメリットしかないですよね。現金の持ち合わせがないときでも欲しいものが購入できるし、大金を持ち歩きたくないような海外旅行のときでも、スマートに支払いできますよね。
流通系カードも表向きは、「顧客に支払い方法の選択肢を増やすため」といってカードを発行していました。でも実際のところ、自社でカードを発行する目的は「顧客の囲い込みや固定化」を目的としていました。つまり、販売促進手段として、クレジットカードが有効だと思っていました。
この流通系カードが大当たり。消費者に近い事業形態である「流通業」はカード会員の獲得にさほど苦労しませんでした。すぐに顧客を囲い込むことに成功したので、流通系カードは急速にその規模を拡大し、現在に至っています。
メーカー系
自社製品や高額な耐久消費財*4の販売促進のために、個別クレジットを提供していた自動車業界や家電業界もクレジットカードを発行しました。これらを「メーカー系」クレジットカードと言います。
代表的なメーカー系クレジットカード
- 航空(エアライン)系クレジットカードの多く
JAL、ANA、ユナイテッド等、航空会社が発行するクレジットカード
- 石油(オイル)系クレジットカード
出光、新日本石油、昭和シェル等、石油会社が発行するクレジットカード
- トヨタファイナンスが発行するTSキュービックカード
- 日産フィナンシャルサービスが発行する日産カード
家電メーカー系クレジットカード会社も以前は存在していましたが、現在はヤマダ電機、ビックカメラ、エディオンなどの大手電気店の登場により自社系列店は衰退してしまいました。
最後に
先述した以外にも、インターネット関連の企業の発行する「ネット系」や、鉄道事業者が発行する「鉄道系」など、より細かく分類することもできますが、私は1枚は必ず銀行系のクレジットカードを持っておくことをオススメします。
というのもやはり銀行系の信頼度やネームバリューが非常に高いからです。これからの時代、もしかすると就職活動の際に自分のクレジットヒストリーであったり個人信用情報をスコアリングしたものを提出するようになるかもしれません。現にアメリカでは就職活動の時に、スコアリングされた自分のクレジットヒストリーの提出を求める企業もあるそうです。
日本でそういう時代が来るとは断言できませんが、やはりステイタス性の高い銀行系のクレジットカードは、スコアリングの際にはポイントが高いものではないかと思います。
また、学生の間はクレジットカードの審査に通りやすかったりします。学生は安定した収入がないので、親の情報をもとに審査をするクレジットカード会社もあるからです。
実際私自身も、人生で初めて持ったクレジットカードは「三井住友VISAカード」でした。限度額は小額かもしれないけど、持っているだけで信用力が高まります。ぜひこの機会に、学生の方は銀行系クレジットカードを申し込んでみたらいかがでしょう??
参考図書:
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